先日、『Newsletter(毎月発行)』の特別号発刊に向けての取材のため、日野市百草にある由木農場を訪問しました。
由木農場の由木勉さん。何を隠そう、私たちの直売所一号店「くにたち野菜 しゅんかしゅんか」が2011年春に開業した時から今日に至るまで(すなわち、(株)エマリコくにたち創立以来)、ずっとお世話になっている農家さんです。
この日は、しゅんかしゅんかの店頭には欠かせない「さくらこめたまご」のお話を伺いにおじゃましたのですが、いえいえ、本当に多岐に渡るお話を伺うことができたので、ほんの一部ですがご紹介したいと思います!
(「さくらこめたまご」についてのお話は、来月発行予定の『Newsletter特別号』もお楽しみに。エマリコくにたちの直営店舗や都心部の卸先スーパーマーケット、農いく!のイベント等にて配付中です♪)
由木農場は、最寄りのバス停から緩やかな坂道を登ることおよそ10分、小高い丘の上にあります。
ほんの少し息切れしながら到着すると、そこには、「ここ、東京だよね…?」と思わず呟きたくなるくらいの自然豊かな風景が広がります。
そして到着するなりすぐに聞こえてくる、鶏の元気な鳴き声!
由木農場には、日本で唯一の純国産鶏である「さくら」と「もみじ」の2種類が、毎日元気にたまごを産んでいます。
大小2箇所の鶏舎で育つ鶏の数、なんとおよそ8,000羽。
さすが日野市内で唯一養鶏を行う由木さん、規模が桁違いに想像の遥か上をいきます。
由木さんこだわりの開放鶏舎。自然の光と風を感じる鶏舎の中で、上下二段に鶏たちが並んでいます。
開放鶏舎の対義語は「ウインドレス(無窓)鶏舎」と言って、文字の通り窓がない鶏舎施設。そこでは、太陽光の代わりに電灯で明るくされている中で、鶏の入るケージも三段、四段、五段と段数が多いところが主だそう。
由木さん曰く、「太陽の光をしっかりと浴びることで、黄身の色が綺麗に出る」とのこと。由木農場のたまごは、すべて卵黄着色料不使用です。
しゅんかしゅんかで販売しているのは、2種類の鶏のうち、「さくら」が産む「さくらこめたまご」。
由木さんが2日に1回、1,300kgを仕込むという(!)自家配合の餌を食べる「さくら」のたまごは、淡いレモンイエロー色の黄身が特徴的。
食べてみると、くさみが全くなく、さっぱりとしつつもコクを感じられて、毎日食べたくなる味です。
さて、なぜ名前に「こめ」が入るのか…その由来については、ここで書きたい気持ちをぐっと抑えて、『Newsletter』で丁寧にお伝えしたいと思います!
この日伺ったお話は、由木さんのお家の歴史についてまで渡りました。
今年で就農45年目に突入された由木さんは、この地で15代目にあたります。遡ること、なんと安土桃山時代から歴史のあるお家。
これは、今回初耳だったのですが、お祖父様の代までは、この辺り一帯に神社があり、由木さんのお家は代々神主だったそう。
戦争から戻られたお父様の代で、神主業はやめ、日々食べるものを作るためにも農業一本で本格的に始められたのだとか。その頃はまだ便利な農機具なんてない時代、お父様が鍬を使って手作業で畑を広げていかれたと言います。
ちなみにそのころは、今のような養鶏ではなく養豚をメインにやられていたそうですが、時代の移り変わりとともに肉の価格が安くなり採算が合わなくなったことなどの背景を経て、養鶏に切り替えられたそう。
こちら、なんだか分かりますか?
今でこそ、孵化場(卵を孵化させる施設)・育雛場(孵化したヒナを育てる施設)・採卵場(鶏が産卵する施設)と分かれているところが多いですが、「昔は孵化場と採卵場しかなかったんだよ」と由木さん。
そう、その昔由木さんのお父様の代では、この赤い三角屋根の建物で孵化したばかりのヒナを産卵するようになるまで育てることもされていたのだそうです。歴史を感じる風情ある外観、ここにたくさんのヒナが来て大切に育てられていたのだと思うと、なんだかジーンとしてしまいました。
現在由木農場でたまごを産む鶏たちは、岐阜県で生まれたのち、すぐに埼玉県の育雛場にお引越し。たまごを産むようになるまでおおよそ120〜130日間を埼玉で育てられ、その後ここ日野市にやってきます。
来てすぐの頃に産むたまごを「初卵」と言い、これは大変貴重で喜ばれるのだとか。最初の頃のたまごは大きさも小さいですが「たまごは小さい方がうまいんだ」と由木さんは語ります。
日野市内で唯一の養鶏場である由木農場。
現在、市内の全(公立)小・中学校合わせて25校の給食に、由木さんのたまごは使われています。学校給食への納入を始められてもう30年以上が経つのだとか。そして、この納入作業ももちろん、由木さんの大切なお役目。養鶏、大量の餌の自家配合作業、野菜と果樹の栽培をしながら、ご自身での納入まで…果たしてそのエネルギーはどこからやってくるのでしょうか。
気さくで穏やかな語り口の由木さんから、静かに燃えたぎる使命感のようなものを感じざるを得ないのでした。
由木さんの農場では、養鶏の他にも、ゴボウや筍などの野菜を始め、毎年収穫体験が人気のリンゴやブルーベリーなど果樹の栽培も行なっています。
そちらについては、また別のDiaryにいつか書き留めたいと思います。
最後に、由木農場のホームページをご紹介。
素敵な写真で農場の魅力が伝わるので、ぜひ覗いてみてくださいね!
http://yugi-nj.com
text:Megumi Maruyama