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豊作貧乏とはよく言ったもので…

2020年11月28日

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コロナ禍で大変な社会情勢が続きますが、今年は大きな台風が全然こなかったのにお気づきでしょうか?また、夏は酷暑や7月の長雨など異常気象が続きましたが、この秋冬は穏やかで暖かめ。このようなことから、秋冬野菜が大豊作です!みなさん状態の良い野菜がたくさん採れていています。

ところで、豊作貧乏という言葉をご存知でしょうか。

豊作だと野菜の販売価格が下がってしまい、かえって貧乏になってしまう、ということです。経済学の教科書などにも出てくるような事例ですが、これ、何年かに1回は実際に起っている現象です。そして、今年はまさにその状況。

なぜこんなことになるかというと、豊作で野菜の供給が増えて価格が下がっても、需要は極端に増えないため、市場における需給のバランスが大きく崩れてしまうから。例えば、ほうれん草の値段が3割安くなっても需要は2倍になったりはしない、ということですね。実際、今日の新聞相場(日本農業新聞)を見ると、ほうれん草1束(200g)で高値が86円で安値は16円。こうなるとスーパーの販売価格は100円以下になることも。それでも販売量は増えないということで、農家も小売店も儲からない、厳しい状況になってしまいます。しかも、豊作のときは野菜の出来も良いので、品質が良いものが安くなるという一見矛盾した状態になります。これが、精神的にはなかなかキツイのです。。

とは言え、不作も起こるのが農作物。種をまく段階で播種の量を調整するのは不可能です。昨年は不作で野菜の価格が高騰したのは記憶に新しいところです(ニュースなどで、野菜が高騰した時だけ大きく報じられて、野菜が安い時にはあまり報じられないことに、農家や小売店としては小さな違和感を持つのはここだけの話)。豊作の時には余るくらいの作付量でないと、不作の時に野菜が足りなくなるのも事実です。これは一般論で、今の日本で作付けられている野菜が適切な量なのかは分かりませんが…

消費者としてできることはなるべくたくさん野菜を食べること。豊作だと品質が高い野菜が安く手に入るのは、消費者にとってはうれしいこと。たくさん食べて少しでも需要拡大に貢献してもらえたらうれしいです!

(2020.10.30. 追記)
「野菜 過去5年最安 好天で潤沢 来月も軟調か 重量品目で顕著」(日本農業新聞)https://www.agrinews.co.jp/p52547.html

text:Yusuke Shibuya

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