「つくったものがうまくできて、よく売れた時が嬉しいよ!」と笑って話す、品質安定の農家さんです。
いま立川市の野菜は「立川印」というブランドネームで打ち出されています。しゅんかしゅんかの店頭にも立川印シールの野菜があるはずです。
夏の終わり頃から徐々に、「ほうれん草はない?」というお声をいただきはじめます。
初秋に入り、いち早く届けてくれたのは、今年就農44年目を迎えられた岩田良一さん。のーかる店頭に並ぶ野菜のPOPでそのお名前を見ない日はないほど、売り場を通年彩ってくれる農家さんです。
立川市の端、すぐ隣は福生市になる西砂地区にある岩田さんの畑を訪れたのは、11月上旬。およそ2ヘクタールという広い畑で、年間約30品目を栽培。岩田さんの他に、お母様、奥様、二人の息子さん、ボランティアの方と日々作業されています。
少量多品種栽培へ切り替え
岩田さんの畑では、毎年10月〜翌年5月ごろまでほぼ毎日ほうれん草を出荷されており、年間では露地の畑で4反ほどの作付けになるといいます。この日も、小松菜と合わせて350束を出荷したのだとか!
ほうれん草は毎年同じ品種を栽培してきましたが、今年は新たに2品種を追加し、どんな違いがあるか試験的に栽培してみているそうです。
ほうれん草の栽培を始めたのは、30年以上前。そのさらに10年ほど前、就農された当時の販路はまだ市場のみでした。
当時の栽培品目は、うど、里芋、キャベツの3つのみで、これらを現在よりもさらに広い圃場面積で育てていたというから驚きです。
岩田さんが畑に入るようになり、親しくなった市場のスタッフさんからの「〇〇を出荷してほしい」というリクエストや、近隣の農家と始めた週に一度の共同直売での需要もあって、少しずつ野菜の種類を増やしていったそうです。
特に、10年ほど前、当時最大の売り先だった昭島の市場がなくなったことを受けて、直接取引メインに切り替えたことをきっかけに、さらにさまざまな野菜に挑戦するようになりました。
現在は「のーかる」をはじめ、スーパーなどにも幅広く出荷していますが、その多くは畑まで集荷しに来てくれるそうで、「生産に集中できるからありがたいんだよな」と教えてくださいました。
家族で支え合い次世代へ
二人の息子さんは、もともとは農業とは異なるお仕事をされていました。先のことを考え、数年前から本格的に畑に入るようになったそう。
「真面目なせがれたちがいてくれて、俺は恵まれているよ」と話す岩田さん。西砂地区は、代々続く(この辺りとしては)大規模な農家が多かったそうですが、跡継ぎがいないため農地を手放すことになった農家も少なくないといいます。
今年からのーかるに入荷し始めた「カイラン」という野菜は、実は息子さんが見つけてきて作付けを決めたのだとか。
ほうれん草など、柱となる野菜があってこそ、少量多品種栽培の強みを活かして、家族で新しい挑戦を続けていくことができます。
岩田さんにほうれん草が一番おいしいと思う時期を伺うと、「うまいのは2月。これは間違いない!」
寒い季節に旬を迎える野菜は、寒さにあたりながらゆっくりと時間をかけて育つ中で甘みがのり味も濃くなるものが多いですが、ほうれん草も例外ではありません。
鉄分を豊富に含み栄養価の高いほうれん草、季節ごとに変化する味わいにもぜひ注目しながら楽しんでみてくださいね。