趣味は旅行で、以前はよくひとり旅も楽しんでいたそう。
これまでに訪れた旅先の中では、北海道・紋別市がお気に入り。「もろに猿岩石世代だからね。ヒッチハイクもよくやったよ〜」と笑って教えてくださいました。
「冬野菜」と聞いて連想する代表選手といえば、大根。多摩地域の畑でも多くの農家さんが栽培されており、私たちの直売所「しゅんかしゅんか」や「のーかる」でも、寒くなると立派な葉つき大根が店頭を賑やかします。
今回は、そんな旬の大根についてお話を伺いに、国立市谷保・遠藤隆太さんを訪ねました。
「うちは冬野菜の中だと、代々大根が主力ですよ」と話す隆太さんの畑には、この日も青々とした葉の下に太い大根が顔を覗かせていました。
もとはIT系サラリーマン
隆太さんは遠藤家の5代目にあたり、今年で就農して丸10年。大学では経営学を専攻、卒業後はライター業を2年ほど経験した後、当時(2000年ごろ)まだ出始めだったPCの専門スキルを活かしてITコンサルタントの職に就き、およそ8年働かれていたとか。
「最初は、いずれ40歳くらいで実家の農業を継ぐのかなとイメージしていたんです」と振り返る隆太さん。
結果、それよりもずっと早く、32歳で就農されました。その背景には、地元で同じく農家の息子として育った幼馴染たちからのアドバイスがあったそう。「ちょうど30歳になった頃に同窓会があってね。すでに畑に入っていた彼らに、『農業でも新しいことをいろいろ試していくことを考えると、体力的にも気持ち的にも、40歳を待たずに早く始めた方がいいんじゃないか』と言われて。この先農業をずっと続けていくことを考えても確かにそうだな、と思ったんです」と教えてくれました。
その後、農業試験場で一年間野菜栽培の基本を学び、本格的に畑に入るようになります。
父の代から始めた大根栽培
「冬の主力」である大根。実は、隆太さんのお父様・義明さんの代から栽培を始められたそう。
隆太さんが就農する以前、義明さんはほぼすべての野菜を市場へ出荷しており、その頃に「葉つきの大根を出せないか」という市場からの要望を受けて始めたのがきっかけでした。
鮮度が落ちやすい大根の葉は長時間の流通には不向きだし、扱いにもコストがかかるため、市場へ出荷する際には葉を落として用意するのが基本。そんな中、葉つきの大根はとても貴重だったのだろうなと想像しました。
隆太さんが継がれて、今では地元のスーパーやしゅんかしゅんかなどの直売所がメインの販路となり、市場へ持っていく量は多くないそうですが、今もそのかたちは続いているとのことです。
今年の大根のこと
今年は3,000本ほどを栽培中。就農してからこれまでに20種類を超える品種を試してきて、現在はその中から3品種をメインにやられています。
それでも毎年新しいものを試してみるそうで、「メインの3種類と比べてどうか、というのを実際に育てながらベストを探すようにしている」とのこと。
1シーズンの中でだいたい10日おき、合計6回に分けて種をまきます。栽培する人が多い大根、なるべく周りの農家と少しでも出荷時期をずらしつつ長く出せるように工夫されています。
今シーズンも、昨年11月から入荷が始まり、1月いっぱいくらいまでは出せるだろうとのこと。
隆太さんが目指すのは、「尻すぼみにならずきれいな長方形で、白い部分が真っ白な大根」。
オススメの食べ方は、たっぷりとおろして鍋に豪快に投入!旬の国立産大根、店頭で見かけたらぜひ試してみてくださいね。