先日、立川市栄町で農業を営む山川裕之さんの圃場を訪問しました。
この地で、9代目として後を継ぎ就農されてから、今年で17年目の裕之さん。
こちらでは年間にして25〜30品目ほどをご家族で手がけられています。
山川さんといえば、くさみなく味の濃い人参「ベータリッチ」や口当たりなめらかなカブ、鮮やかな赤色のサニーレタスなどなど、直売所「地元農家のとれたて野菜 のーかる」でも毎年ファンがたくさんいる野菜も多いですが、やっぱり「小松菜」のイメージが強い農家さんです。
小松菜は本来の旬は冬ですが、最近では夏作用の品種も出回るようになり、この辺りでもこの時期に栽培される農家さんもちらほらと増えてきています。
ただし、暑さで葉が日焼けしたり溶けてしまったり、虫が多いというリスクはどうしても発生します。そして、小松菜やほうれん草などの葉野菜は、冬の寒さにあたりながら時間をかけて育つことでぎゅっと甘みや味がのるため、この辺りの畑では冬の栽培がやはり一般的です。
そんな中、山川さんはほぼ通年小松菜のハウス栽培を行っています。
上に書いたようなリスクを承知の上でも毎年やる理由を伺うと、「小松菜は、夏の時期でも食べたいという需要はある。この辺りではやる人がとても少ないから、自分が栽培を続けることでそのニーズに応えたい」と仰っていました。
山川さんの圃場は露地よりもハウスがメインになり、現在はそのうち3棟で小松菜を栽培中。
昨年小松菜のハウス全てに遮光資材を新しく導入したことで、今年は例年よりもハウスの管理がしやすくなり、小松菜の調子もこの時期としてはなかなか好調とのこと。
(さっそくこの日頂きましたが、クセがなくシャキシャキとしていて、とても食べやすくおいしかったです!)
ただし、それでもハウスの中は温度が上がりやすく、日中はまだ農作業できる環境ではないとのこと。
小松菜の葉も「カッピング」と言って、葉が丸く反り返る現象が見られます。カッピングは高温期に出やすい症状で、遮光資材導入、通気性の確保、十分な水やりをもってしても夏の小松菜栽培がチャレンジングであるということがよくわかります。
そんな環境で手間暇かけて育てられた、貴重な小松菜。
冬と比べて生産量は少ないため、「のーかる」には不定期で届きます。お近くの方は、ぜひ山川さんの軒先直売(野菜自動販売機での無人販売)での購入がオススメです!(立川市栄町2-25-3付近)
今日も「農家さん、ありがとう」の気持ちをもって、美味しくいただきまーす!
☆おまけ…
山川さんの圃場の一番奥へ進むと、何やらおおーきな落とし穴?が出現!
実はこれ、裕之さんが自らユンボで掘った「手づくりダム」だそう。
ふつうに歩いていると感じられませんが、圃場全体が緩やかな斜面になっているため、「雨がたくさん降った時などに、このダムに雨が溜まることで、ハウスや露地の畑に水が流れ吸収し過ぎてしまうのを防ぎたくて掘りました」と裕之さん。
なるほど、農家さんの圃場には、作物そのものだけではなくこんなところにも工夫が詰まっているんだなぁと改めて感じさせられました。
text:Megumi Maruyama