近隣の農家5名で「コサエルくにたち」を設立、国立産の激辛唐辛子を使った「辛すぎて谷保(やぼ)」を商品化。「しゅんかしゅんか」でもコアファンに隠れた人気を見せています。
趣味は、若い頃からずっと好きなバイク!
直売所の夏の主力野菜、ナス。
煮ても、焼いても、揚げても、炒めてもおいしい万能選手です。
定番の千両ナスをはじめ、緑色が美しい「白丸トロナス」など種類豊富なナスを栽培しているのが、国立市の佐伯達哉さん。その栽培の裏側を覗きに、畑へ訪ねました。
農家になるまで
「もともとは、農業を継ぐ気はなかったんですよ」と話す達哉さんに、農家への道のりは突然訪れました。
地元のJAで外回りを担当する営業マンとして働いていた31歳の頃、農業のことをほとんど教わらないままお父様が他界。
「お前に(農業が)できるわけがないだろう」生前にお父様から言われた一言が逆に後押しとなり、「やってやろうじゃないか」と強い思いを胸に農家へ転身し、今年で25年目。
新しい農業技術やノウハウは、農業試験場へ足を運んだり、地域の気心知れた農家同士で試行錯誤しながら取り入れてきたそうです。
田んぼで育つナス
達哉さんの畑は、国立市南部の緑豊かな農地の風景が広がる地域にあり、甲州街道と多摩川の間に位置するこの辺りでは、貴重な農業用水が豊富にあります。
畑と水田が隣り合わせにある達哉さんの圃場では、年ごとにナスと稲の場所を入れ替えて交互に栽培します。
この利点は、水を張ることで圃場の成分が流れるため、作物の切り替えの際に行われる土壌消毒などの手間がいらないこと。
また、ナスは水が命といえる野菜。水が豊かな田んぼでつくられたナスはとてもツヤがあり、みずみずしくふっくらと育ちます。
こだわるのは水だけではありません。
土づくりには、牛糞と藁(わら)を混ぜ合わせたものを乾燥させて、二週間に一度追肥。こまめに肥料を分配することで、ナスの味に良い影響が出やすいといいます。
さらに、先代から伝わる「習わし」として、水で溶いた米ぬかを畑全体に広がるように入れています。こうすることで、表皮のツヤとハリ、食味のおいしさに繋がると教わったのだとか。
このように、田んぼという、ナスに好環境の圃場で手間ひまをかけながら、今年はおよそ800本強を栽培!国立市ではトップクラスの生産量にあたります。
収穫から出荷まで
シーズンに入ると、毎日奥様と二人三脚で収穫を行います。
取材に伺ったこの日は、12箱ほどのカゴにとれたてのナスがびっしりと並び、出荷の準備を待っていました。
収穫時には、人の手が触れることで表皮が傷むのを極力避けるためにヘタの部分を持って収穫するそうで、そのためにも「とげなし千両」という品種を選んでいます。
ピーク時期の出荷日は、夜中の2時から荷づくりを開始されるそう。
前日に収穫したナスを1本ずつ丁寧に検品しながら袋詰め。ナスを愛でる達哉さんの愛情が溢れる瞬間です。
達哉さんのナスはとにかく種類が豊富!
今年は感染症流行を受けて栽培の始まりが穏やかでなく、育てる種類も絞ると決めたものの、「毎年新しいことに挑戦したくて、やり出したら止まらない性分なんです」と笑う達哉さんは、今年も7種類のナスを育てています。
定番の千両ナス、焼きナスに適した長ナス、生でおいしい水ナス、コロッとした米ナス、ふっくら緑色の白丸トロナス、外も中も真っ白の揚げてトルコ、江戸東京野菜の寺島ナス。
「ナスは品種によって身の柔らかさや皮のかたさが異なるので、それぞれの味わいを楽しんでもらえたら嬉しいですね」と達哉さん。
田んぼ育ちのみずみずしいナス、今年も「しゅんかしゅんか」にたくさん並びます。ぜひいろいろ食べ比べてみてください。