農作業だけでなく、一年間のキウイ栽培の仕事風景を歌えるYoutube動画をプロの映像制作の方とコラボして公開したりと、精力的に広報活動も行う。
ラジオと演芸鑑賞が趣味の、3児の父。
東京・三鷹市。
閑静な住宅地と農地が共存するこの場所が誇る都内生産量第一位の農産物が、秋に出荷開始を迎えるキウイフルーツ(以下、キウイ)です。
今回は、そんな地域の名産品を栽培する三鷹市野崎・よしの園の吉野均さんを訪ねました。
果樹農家への経緯
よしの園では、キウイを始め、栗、柿、ミカンなどさまざまな果樹を栽培。
野菜農家と比べて圧倒的に軒数の少ない、都内でも貴重な果樹専門の農家です。
「まさか自分が農家になるとは思っていませんでした」という吉野さん。
もともとは大手食品スーパーに10年ほど勤務されていて、農業に触れる機会はありませんでした。
そんな中、ご結婚を機に婿入り就農。当時を振り返り、「父が育てたキウイを初めて食べた時に、それまで自分の中にあった“キウイ=酸っぱい”というイメージが払拭されて。それ以来、このおいしさをもっと多くの人に知ってもらいたいという思いで日々営農しています」と話してくれました。
よしの園で育つキウイ
キウイだけで8,000平米ある畑を有し、現在は3種類の品種を栽培。
最も多いのがグリーンキウイの代表・ヘイワード。その他、中心が赤く甘みが強い「紅妃(こうひ)」と、小平生まれの新品種「東京ゴールド」です。
品種による味の違いが分かりやすいキウイですが、それぞれ見た目にも特徴が。
ヘイワードは俵のような形で皮が産毛で覆われています。対して紅妃や東京ゴールドは、産毛がほとんど無くツルッとした肌触りで、紅妃はやや下膨れ、東京ゴールドは雫のような形が印象的です。
(お尻にくぼみがある紅妃。収穫ギリギリまで袋をかけて守られている)
(雫型の東京ゴールド。紅妃と比べてやや酸味を感じる)
収穫期も少しずつ異なり、最初に紅妃が10月上旬から収穫を迎え、その後東京ゴールド、ヘイワードの順に採れます。
たわわに実るキウイを見ながら、やはり一番大変なのは収穫作業なのかと思い伺うと、「春の授粉作業もなかなか…」と吉野さん。
よしの園の樹はすべて“雌(めす)”で、毎年4月下旬〜5月下旬にかけてそれぞれの品種が開花すると、“雄(おす)”の花粉を手作業で授粉させていきます。
しかも開花期間は4日間程度しかないそうで、短期集中で終わらせなければならないという大変さがあります。
これを吉野さんとお父様の二人でやるというから、驚き…!
それから5ヶ月以上かけて管理され、収穫後には丁寧に追熟処理をしてからの出荷。
キウイ1玉にかかる時間と労力を知ると、また食卓でいただく時のありがたみが変わってくる気がしますね。
農作業だけに留まらない
「僕らの世代は、積極的に外でいろいろな人と関わり、東京の農業の魅力を知ってもらうことが大切だと思うのです」と語る吉野さん。自らSNSでの広報や、さまざまな人と交流されています。
農園のLINEでは、農家とフォロワーとの相互交流ができ、直売所の状況がリアルタイムで知れたり、取り置きができたりと、消費者にとって嬉しい面も。
出荷ピーク期には、直売所だけでなく、全国への発送が毎日続きます。
また親交のある地域の洋菓子店への出荷も毎年欠かしません。
(親子向け農体験イベント「農いく!」で、参加者の親子向けにキウイのお話をする吉野さん)
そんな吉野さんの“まじめ”さが込められたこだわりのキウイは、今年も10月中旬から販売開始を予定!ぜひお試しあれ。