立川市内の同世代の農家との交流も盛ん。二女一男の父。
シャキシャキとみずみずしい小松菜の真のおいしさを実感できるのは、畑に近い直売所ならでは。
まずは生でかじってみると鮮度の違いが歴然です。アク抜きいらずで料理にも使いやすく、食卓やお弁当に映える鮮やかな色も魅力。
他の青菜に比べ、実はカルシウムや鉄分の含有量が断トツに高いことを知ったら、ほら、もう新鮮な小松菜を食べたくてうずうずしてきませんか?
夏の小松菜栽培の難しさ
立川市栄町の山川裕之さんは、就農17年目。ハウス栽培の小松菜をほぼ通年で出荷されている、このあたりでも貴重な農家さんです。
残暑和らぎ、心地よい風が吹く9月のある日、山川さんの畑を訪ねました。
広い空の下、さっそくハウスへ案内され入ってみると、青々とした小松菜がびっしり。
生育について聞いたところ、夏の時期ならではの難しさをいろいろ教えてくださいました。
「暑さでカッピング(葉がカップ状に変形する症状)が起きちゃって」と山川さん。パッと見るだけでは分かりませんでしたが、言われてみると少し外側に丸くなっているように見えます。
また、「同じハウスの中でも、側面の列は温度が高くなりやすいので、真ん中あたりと育ち方が違いますね」とも。
真夏の暑さ対策も兼ねて、昨年ハウス全棟に遮光資材を揃えたそうで、他にできることといえば、換気に気を配ることと井戸水での灌水(かんすい)程度なのだそう。
また、台風など強風の時にはハウスが傾いてしまうこともあるそうですが、「かと言って、閉め切ると蒸してしまうんです」と。さらには、冬と比べると虫発生のリスクも高くなります。
(↑「カッピング」している小松菜の葉。比較的暑い時期に起こりやすい現象とのこと)
そう、本来小松菜の旬は冬。
「雪菜」と呼ぶ地域もあるほど、もともと寒さとともにじっくりと育つ野菜なのです。
それでも、「(この時期は)ほとんど小松菜をやる人がいないから、夏にも食べたいというニーズに応えたいんですよね」と教えてくださいました。
夏にとれたての小松菜が食べられる贅沢は、農家さんのさまざまな努力の上にあることを実感させられました。
農家になってからこれまで
幼少期から農業を身近に感じて育った山川さんですが、実は最初は継ぐ気はなく、コンビニチェーンに勤められていました。
そんな中、先代の体調が不安定な折、お父様から頼まれて農業の世界へ入ることに。同じ頃にご結婚もされ、9代目の跡継ぎとなりました。「その時、初めて地下足袋を履きましたよ」と振り返ります。
一つ一つの仕事をご両親のもとで覚えていく中で、三人のお子さんにも恵まれます。農家としても父親としてもさまざまなことを乗り越えながら、ひたむきに農業に向き合ってこられたことが伺えました。
山川さんは、「なるべくいろいろな引き出しがほしいんです」と話します。同じ野菜でも品種を変えるとどうなるかなど、常に試行錯誤しながら試しているのだとか。
あるときは、畑が水を吸収し過ぎるのを防ぐためにユンボ(重機)でダムを掘ったことも!
今春には、「自分がつくる野菜を、どんな人に食べてもらって、どのくらい受け入れられるのか試したい」と野菜の自動販売機を軒先に導入。食べた人の反応をより直接感じられるようになりました。
農業にも活きる、お客様目線
山川さんは、小松菜をはじめ約30品目の野菜を栽培。
実際に食べる人たちに、どんなものをつくったら喜ばれるのか知りたいという姿勢には、かつての接客業で「お客様目線」を常に考えた経験が活きています。
そんな山川さんに、私たちスタッフがお店に足を運んでくださる皆さんのお声を届けます!その一言は、さらにおいしい野菜が育つ力になるかもしれません。
作業が丁寧で、品質の安定感が抜群!と太鼓判の山川さんの小松菜は、紫色の紐で巻いてあるのが目印です。「のーかる」で見かけたら、ぜひ手にとってみてくださいね。