広大な畑を限られた人数で管理していることもあり、市場出荷がメイン。毎年行う東京ウドの全国発送も大好評です。
広大な畑、ウドの花
10月下旬になると店頭に並び、ひときわ目立つ真っ白な須崎彦義さんのカリフラワー。その秘密を知るべく、五日市街道から北側に玉川上水のあたりまで続く広大な畑を訪れました。
10代目にあたる彦義さんは、おおよそ2町歩(約2万平方メートル)もある畑で、お祖父さまの代から取り組んでいる東京ウドをはじめ、ブロッコリー、カリフラワー、キャベツ、サトイモ、トウモロコシを露地で栽培しています。
ウドは東京の名産で、立川は都内最大の産地。その中でも須崎さんは指折りのウド農家です。
伺った時には室(むろ)に伏せ込むためのウドの根株を育てているところで、たくさんのミツバチがウドの花に集まっていました。
(↑大きな布を剥がすと、深く掘られた室が現れる。林の中に何箇所もありました)
(↑畑に広がるウドの花。ブンブンと音を立ててミツバチが元気に飛び回っていました)
取材した10月中旬は、ちょうどカリフラワーの収穫をスタートした頃。ここから11月末頃まで毎日のように収穫・出荷が続きます。
市場出荷がメインの須崎さんのところでは、カリフラワー、ブロッコリー、キャベツを合わせて、多い時には一日100ケースを 出荷することも。それを須崎さんと奥様、お母様の三人でやられています。
美しいカリフラワーの秘密
須崎さんのカリフラワー、何と言ってもその魅力は「美しさ」と「おいしさ」です。
その「美しさ」を実現するのは簡単ではありません。
堆肥は豚糞を中心に、畑にある雑木林の落ち葉を混ぜてつくり、作物を栽培した後には緑肥としてライ麦やソルゴーをまいて、土にすき込みます。
そうしてつくった肥沃で柔らかい土に苗を定植するのですが、気候等に応じて機械と手のどちらで定植するかを決めるのだとか。今年の8月は雨がほぼ降らなかったため、機械定植の精度ではうまく育つか不安で、すべて手で定植!カリフラワー、ブロッコリー、キャベツを合わせて2.5万株以上を手で植えたそう。
さらに、例年であれば雨が降るので水やりはほぼいらないのですが、今年は心配で2回ほど水をあげたとか。「水をあげる」という言葉ではイメージできませんが、灌水設備のない露地畑に水をまくのはすごく大変な作業なのです。
そして、カリフラワーを真っ白にする最大のポイントは、花房に陽を当てないこと。陽に当たると変色してしまうため、周りの葉を手で折って被せます。一度被せても、花房が育つと折った葉から出てしまうことがあるので、ほぼ毎日チェックします。
そして、いよいよ収穫。どんどん収穫できるブロッコリーとは違い、一つ一つ葉の中を覗き生育具合を見ながら収穫する株を選ぶため、その手間は段違いです。
これら一つ一つの作業の先に、「真っ白」で食感が良くしっかりと甘みも感じられるカリフラワーができあがるのです。
(↑手で葉を折る様子を見せていただきました)
(↑葉で覆われた花房。すべて手作業で行うたいへんな工程です)
どうせならいいものを
お話の中で印象的だったのは、「どうせならいいものをつくりたい」という言葉。
当たり前におっしゃっていたのですが、「いいもの」をつくるには面倒で大変な作業を積み重ねなければなりません。それを愚直にやられるお姿からは、ある種の使命感のようなものさえ感じました。
当たり前にやらないといけないことを丁寧にやることで、特別な野菜が育つ。
「美しい」カリフラワー、ぜひお試しください!