取材中も「寒いから暖かくしてね」とスタッフを気遣ってくださる優しさや、他の農家さんのことを「すごいよなあ」と誇らしげに語る様子が印象的でした。
国分寺市北町の住宅街に広がる、3,000坪ほどの広い畑とその向かいに佇む可愛らしい小屋。
ここは、江戸時代に開墾された地にある清水農園の畑と直売所です。就農して23年になる5代目・清水雄一郎さんを訪ねました。
昔から国分寺市は植木業が盛んで、ご自身も植木屋を目指していたという雄一郎さん。農園には野菜だけでなく、しだれ桜や蝋梅、トサミズキなどの木々もあって、時おり良い香りが漂います。
畑に挟まれ奥にまっすぐ伸びる道を歩きながら、清水農園の野菜づくりについてお聞きしました。
農園の看板商品
みなさんは、清水農園のサラダセットをご存知ですか?直売所がオープンしてから23年間作り続けられている看板商品です。
冬にはこの商品のために4棟ものハウスが使われているということからもその人気ぶりが伺えます。
販売を始めた頃はルッコラのみだったそうですが、雄一郎さんのお母様がリサーチを重ね、少しずつ野菜の品種を増やしていったのだとか。現在は、ルッコラ、からし菜、わさび菜、水菜、ラディッシュ、菜花をベースに、時期によりレタスや、カブや人参の間引きなども加わり盛りだくさん!
「正直、それぞれを単品で売る方が楽なんだけど…でもお客さんが喜んでくれるからね」と、雄一郎さんもお母様も笑います。
いくつか試食させてもらって驚いたのは、どの野菜も特徴がはっきりと伝わってくること。辛みや甘みなど個性があり、何も味付けせずにこんなにもおいしいんだなあと感動しました。
種から育てる春野菜
露地の畑で生長中だったのは、春の野菜・のらぼう菜。こちらも直売所で大人気で、並べたそばから売れていくので、収穫が追いつかないほどだそうです。
こののらぼう菜、清水農園では自分たちで採取した種を蒔いて育てているのだとか。
毎年販売のための収穫をすべて終えると、2〜3mはそのまま畑に残しておき、伸びてきた花に種がついたところを刈り取り乾燥させることで、自然と種が弾け出るそうです。
「のらぼう菜は甘みがあるから何にでも合うよね。茹でて食べるのはもちろん、パスタに入れたり、ベーコンと炒めてもおいしいよ」と教えてくださいました。
収穫は3月下旬からとのこと。今から待ち遠しいですね♪
循環する畑
野菜を育てる上で欠かせない肥料についても伺いました。
見せていただいたのは、畑の隅につくられた高さ1mほどの堆肥の山。府中の東京農工大学から譲り受けた馬糞と藁(わら)に、農園で集めた落ち葉や野菜くずや米ぬかを加え、年に数回かき混ぜているのだそう。
作り始めて1年が経った堆肥は、土のようにふかふかと柔らか。
「落ち葉も野菜くずも放っておくとゴミになってしまうから、肥料に変えて畑に戻すことで豊かな土づくりに活かしていきたい。なるべく無駄なものを出さずに循環させるって、とても大切なことだと思う」と雄一郎さん。
おいしい野菜と環境のために、手間を惜しまずこつこつと。そうしてつくられた野菜は、とても生き生きとしてどこか嬉しそうです。
清水農園の野菜は、「にしこくマルシェ しゅんかしゅんか」で毎日販売中。ぜひ味わってみてくださいね!