昨年の夏に農いく!を受け入れてくださった際にも、子どもたちに野菜についていろいろなことを教えてくださった、知識豊かな農家さん。
「しゅんかしゅんか」にいつも立派でおいしい野菜を届けてくれる国立市・佐伯誠三さん。
南は甲州街道に面し北は矢川の支流を挟むようにして広がる圃場を見せてもらう中でお聞きしたのは、国立市内の小中学校給食センターへの出荷についてのお話。
翌日の給食用に出荷準備をされているところも見せていただきながら、誠三さんが、国立市の学校給食において大きな役割を担っていることを感じられました。
学校給食を支える
誠三さんの圃場を伺うと、誠三さんのお父様・光貞さんと妻・真理さんがネギの皮を剥いていらっしゃるところでした。
「昨日も(学校給食の)お味噌汁に入っていたよ」と真理さん。
国立市内には、しゅんかしゅんかに野菜を届けてくれる農家さんがたくさんいらっしゃいますが、学校給食向けに野菜を出荷している農家さんは5軒ほどで、誠三さんはそのうちのお一人。20年ほど前から、秋と冬を中心に、国立市の小中学校の給食センターへ野菜を出荷されています。
学校給食に卸すとなると、やはり相当な収量が必要です。
誠三さんが給食向けに育てる野菜は、ジャガイモ、キャベツ、長ネギ、大根など、比較的安定して量を取れるものが中心。
これらの野菜の収穫時期を迎えると、毎日給食センターへの出荷でいそがしくなります。一日当たりのおおよその出荷量を伺うと、大根で90kg、キャベツは150〜300kgにもなるそう!
これがその日の給食で使われる大根とキャベツをすべてまかなう量と考えると、誠三さんがいかに市内の学校給食を支えているのかがわかります。
(長ネギの皮は、すべて手剥きで丁寧に行います)
夏になると、今度は直売向けの野菜が中心となり、給食への納品は少なくなります。
しかしそうはいっても全くゼロではなく、夏休み前までに玉ねぎを、さらにトマト、キュウリ、トウモロコシなども年に一回は出荷されるそう。
中学校向けのトウモロコシについては、「その年のとり始めから3〜4日目の、一番おいしい時期のものを入れてるよ」と教えてくださいました。うらやましい…!
旬は一瞬!春のカブ
年間で見ると、誠三さんのお仕事は給食用出荷の割合が多いですが、しゅんかしゅんかでも人気の野菜はたくさんあります。
初夏から出てくる旨みがたっぷり詰まった桃太郎トマト、みずみずしいキュウリ、朝もぎトウモロコシなどに並んで人気なのが、春のカブです。
カブのハウスにお邪魔すると、暖かくて土のいい香りが。地面には青々としたカブの葉が生い茂っていました。
春のカブの大きな特徴は、何と言ってもその甘さとみずみずしさ。その理由は、生育のスピードにあるそうです。
暖かいハウスで育つ春のカブは生育が速いため、肉質がかたくなりにくいのだとか。
収穫期間はおよそ3週間で、とり始めから4週目頃になると、葉のキズが多くなり真っ白い果肉部分も少し黄ばんできてしまうそう。春のカブを最大限おいしく食べられるのは、本当に一瞬なのです。
誠三さんにオススメの食べ方を聞くと、「ニンニクとベーコンと一緒に塩胡椒でさっと炒めるのが好きだね」と教えてくれました。新鮮で栄養満点の葉も柔らかくて丸ごと楽しめます。
噛むとじゅわっと口の中に水分が広がる春のカブは、生で食べてもとってもおいしい!今だけの旬の味覚、ぜひお楽しみください。