嶋﨑農園の大きな看板にも書かれている江戸東京野菜「東京うど」の室(むろ)があり、うども毎年人気です。
最近では、11代目・貴之さんを中心に、少し変わった西洋野菜の栽培にも挑戦中。今後がますます楽しみな嶋﨑農園です。
毎年9月中旬〜10月にかけて直売所で大人気の野菜、生落花生「おおまさり 」。
今回の取材では、10年ほど前からおおまさりの栽培を続けられている、国分寺市並木町・嶋﨑農園を訪ねました。
この地で、江戸時代から300年以上続く嶋﨑農園。
この日は、園主で10代目にあたる嶋﨑敏明さん、ご長男で就農されたばかりの11代目・貴之さん、農業ボランティアとして20年間ここで働かれている山村さんとのお話を通して、おおまさりや嶋﨑農園の特徴を知ることができました。
想像を超える大きさ
農園に到着すると、ちょうど蔓にたっぷりとなったおおまさりを外している真っ最中でした。さやを外す作業は、すべて手と目視で行われます。
この夏「にしこくマルシェ しゅんかしゅんか」で働き始めたばかりの私は、嶋﨑さんの育てるおおまさりを見るのはこの日が初めて。
実際に見ると、事前に想像していたよりもずっと大きい!6〜7cmのさやの中に、実一粒だけで3cmほどもある大きさに、思わず「すごい!」と叫んでしまったほど。初めて手に取る方は、きっと似た感想を持つのではないかなぁと思います。
栽培を始めたきっかけ
おおまさりの栽培を始めたきっかけを伺うと、「たまたま息子が小学生の頃にもらってきた落花生を少し植えてみたら芽が出てさ〜」と振り返る嶋﨑さん。
それまで落花生の栽培は未経験でしたが、ちょうど同じ頃に千葉県でおおまさりが出回り始め、本格的に栽培に取り組むようになりました。
畑で育つ落花生を見せていただくと、小さくて可愛らしい黄色い花がありました。
落花生は、花が咲き受粉したあと、子房柄(しぼうへい)というひげ根が地面へ向かって伸びていき、そのまま地中にもぐり込んで実をつけます。
収穫適期の見分け方は、「ある程度時期は決まっているけれど、実際は掘ってみないとわからないね」と話します。
親しみを感じる野菜
取材の後半には、蔓からさやを外す作業を体験させていただきながら、農業ボランティアの山村さんにもお話を伺いました。
「市内のデパートやスーパーにもここの野菜を置いているから、見つけるとすすんで買うよ。こうして自分も関われている、嶋﨑さんの野菜だからねえ」と、なんだか嬉しそうな声の山村さん。
その言葉や表情からは、「親しみを感じられる野菜がある」ということは、日々の食に対する喜びを与えてくれるのだと感じました。
そんなお話を聞きながら、ようやく蔓から外し終わったおおまさり。これを洗浄機に投入すると、みるみる泥が落ち、落花生特有の縞模様がくっきりと現れました。「この模様がしっかりと出ていると中の実がちゃんと入っていて、反対にツルッとしたものはあまり良くないんだよ」と教えてくれました。
試しにツルッとしたさやを一つ割ってみると、その通り!維管束(いかんそく)というこの縞模様が、中の豆に水分や養分を届ける役割をしているからだそうです。
とれたてをじっくり塩茹ですることで、ホクホクとした食感とやさしい甘みを楽しめるおおまさり。
嶋﨑さんと山村さんも、「今年の出来には自信あり!」ということで、「にしこくマルシェ しゅんかしゅんか」で見かけたらぜひ手に取ってみてくださいね。