近年は、交流のある農家へ長ネギの苗の提供や栽培指導なども行い、「国分寺でもうまい長ネギが育つんだ、と地域として成長したい」と語る。
長ネギの好きな食べ方は、黄緑色の新芽部分を丸ごとしゃぶしゃぶ!
寒い季節の食卓に欠かせない野菜、長ネギ。
今回は、長ネギ栽培についてお話を伺いに、国分寺市北町・榎戸秀晃さんを訪ねました。
榎戸さんといえば、「しゅんかしゅんか」ではトマトのイメージが強いかもしれませんが、実は長ネギも主力野菜で、毎年手がけられています。
今シーズンは10万本!
畑一面に美しく並ぶ長ネギ、その数おおよそ5万本。他の畑も含めると、今年は10万本を栽培中とのこと!
これだけの量を、なんと11〜12月の2ヶ月間ですべて出荷してしまうというから驚きです。
収穫期を迎えると、一日平均1,500本を朝から収穫します。収穫後は、表面についた土を乾かすために地干しをしてから、葉の先端や根を切り、機械にかけて皮を剥きながら太さごとに規格分けをして、袋づめ。
このようにさまざまな工程を経た長ネギが、その日のうちに「しゅんかしゅんか」に並びます。
ちなみに、根や葉を切る際に使う包丁は、切り口の傷みが最小限になるよう切れ味が重要だそうで、ほぼ毎日研いでいるのだとか。「大量に切って研いでを繰り返すので、だいたい1シーズンで買い替えないとダメなんですよ…」と笑う榎戸さんです。
長ネギは「襟」で呼吸する
実は長ネギは、緑色の部分も白い部分もすべて「葉」にあたります。ではなぜ色が違うのでしょうか?
長ネギは栽培過程で、「土寄せ」作業が必須。土を被せてあげることで、太陽の当たらない葉の部分が白く育ちます。
これを軟白と言いますが、その際、葉の分岐点にかからないギリギリのところまで土寄せするのが重要だそう。
この分岐点を「襟」と呼び、長ネギはこの襟で呼吸をして育ちます。襟が隠れるくらいまで土寄せしてしまうのは、人間に置き換えると首が絞まった状態と同じ…酸素や栄養が行き届かず、細く痩せたネギに仕上がってしまうそうです。
台風で倒れないように、白い部分が長くなるように、と高く土寄せしたくなってしまうところを、榎戸さんはしっかり太く良い仕上がりになるよう、畑やネギの状態を注意深く確認しながら、こまめに土寄せを行います。
「この後ラスト1回(土寄せを)行えば、理想的な長さと太さのある長ネギを12月には出せそうですよ」とのこと!
先行の畑からは11月から出荷スタートということで、楽しみですね。
苗半作。良い苗を育てたい
「苗を育てるまでで、半分その作物を育て終わったようなもの」という意味の「苗半作」という言葉があります。
榎戸さんは今年、「覆土」といって、種まき後に被せる土の厚みを数ミリ単位で変えて苗を育て、定植後の生育を比較調査してみたそうです。そして、ベストな厚みを見出したとか!
「人間と一緒で、良い野菜を育てるには、相手を知らないといけない。知るためにはいろいろな勉強もするし、実際にさまざまな方法を試しながら自分なりのベストを探すようにしています」という榎戸さん。
常に安定した品質とおいしさに多くのファンがいる榎戸さんの農業への思いを伺いました。
11月から年末にかけて店頭に並ぶ榎戸さんの長ネギ。
食卓の主役になれる存在感、見つけたらぜひ買い!ですよ。