「しゅんかしゅんか」がオープンした10年前からずっと野菜を出荷してくださっている、まさにしゅんかとともにある農家さんです。
冬が旬の野菜、ロマネスコ。イタリアが発祥の地といわれる西洋野菜です。
その特有のかたちから別名「珊瑚礁」とも呼ばれますが、ツリーのようにも見えることから、特に12月の食卓を華やかに彩る存在として人気。
ブロッコリーやカリフラワーと比べるとまだ馴染みがないかもしれませんが、スーパーなどでもだんだん見かけることが増えてきました。茹でたり、さっと炒めたり、パスタに入れたりと、さまざまな食べ方を楽しめます。
今回は、国立市内の生産農家・杉田幹男さんにお話を伺いました。
ロマネスコを深く知る
幹男さんがロマネスコの栽培を始めたのは今から7年ほど前。長年ブロッコリーやカリフラワーを育てていたこともあり、栽培方法が似ているため比較的始めやすかったそうです。
現在栽培中の品種は、「スパイラル」と「ネオ・スパイラル」の2種類。味はほぼ変わりませんが、育つスピードが違います。
スパイラルは収穫までに120日ほどかかりますが、ネオ・スパイラルはおよそ90日。ちなみに、ブロッコリーは早生のものでおよそ60日ほどで収穫できるそうで、比べると生長がゆっくりであるというのもロマネスコの特徴の一つ。
品種ごとに育つスピードが違うと聞いて、「ネオ・スパイラルだけやれば良いのでは…?」と思ってしまった私、大事なことを見逃していました。
それは、ロマネスコは12月下旬、クリスマスの時期に一番人気だということ。ネオ・スパイラルだけだと、クリスマスの前にとりきってしまうそうなのです。
2種類の品種を使い分け、さらに同じ品種でも種まきの時期を少しずつずらすことで、11月半ばから年末まで長くロマネスコを楽しむことができるよう工夫されています。
現在はおよそ200株を栽培中。生育に時間がかかる分、肥料が足りなかったり、天候がよくなかったりするとうまく育たないことも。栽培期間が長くなればなるほど、天候の影響を受けてしまう難しさがあります。
きれいに「色鮮やかに」育てるコツは、株間をしっかりと取りたっぷりと日に当ててあげること。ブロッコリーよりも薄い緑色をしているので、日光はあまり当てないのだと思っていました。食べているだけではわからない発見がたくさんあっておもしろいです。
しゅんかとともに
振り返れば、「しゅんかしゅんか」開業時から野菜を出荷し続けてくださっている幹男さん。
17年ほど前、幹男さんがまだ畑に入るようになったばかりの頃は毎日のように市場へ出荷していましたが、近年ではしゅんかやスーパーへの出荷がメインとなり、販路も大きく変化してきています。
そんな幹男さんに「農業が楽しいと思う瞬間」を伺うと、「やっぱりいい野菜ができた時、かなあ。あとは、作付け計画を立てた時にイメージした通りに収穫できた時も嬉しいね」と話してくれました。どの季節を切り取っても、しゅんかには幹男さんの野菜がたくさん並んでいます。
実は、国立市はイタリア・ルッカ市と姉妹都市。イタリア発祥といわれるロマネスコ、市内でもっと広まってほしいなあと思います。
まだ食べたことがないという方はぜひ一度お試しあれ!幹男さんは「国立でこんな野菜を育ててほしい!」という意見も募集中ですよ。