都内では珍しい有人直売所が地元市民に愛されている。
「人と違うものをやりたい」と、現在では切り花の栽培にも注力。畑に咲く個性豊かでカラフルな花々は目の癒し。
みなさんは「葉唐辛子」と聞いて、その見た目を想像できますか?
私自身、「しゅんかしゅんか」で働くまで出会ったことがなかった野菜はいくつかありますが、実は葉唐辛子もそのひとつ。
今回は、このあたりの畑でも貴重な葉唐辛子栽培についてお話を伺いに、立川市砂川町・豊泉農園の豊泉伸夫さんを訪ねました。
お客さんの要望がきっかけ
豊泉さんは、ここ豊泉農園の四代目園主。もともとは会社勤めをされていましたが、30歳を迎えた頃に先代から後を継ぎ就農されました。
豊泉農園は、都内でも貴重な有人直売所での販売がメイン。
ご家族総出で、栽培〜収穫〜販売までを一貫して行っており、取材の日も直売所にはお客さんが絶えずご来店。「今日はシシトウがたくさん採れたのよ〜」と楽しくお話されている姿が印象的でした。
葉唐辛子の栽培も、直売所に通うお客さんからの要望を受けて始めたのがきっかけだったのだとか。就農とほぼ同時に始め早30年、毎年続けられています。
ちなみに、豊泉さんの畑では、4〜5年ほど前から新たに切り花の栽培も始められています。
それまで野菜一本だった中に花を導入された経緯を伺うと、「トマトやキュウリなんかは、立川でもたくさん作っているだろう?採れる時期も被っちゃうし、なにか人と違うものを、と考えていたら花に行き着いたんだよ」と教えてくれました。
昨年から畑に入っている息子さんが、農業試験場にお勤めの間に花の栽培に詳しくなったことも後押しになったといいます。
豊泉さんが手がける色とりどりの花束は、私たちの直売所「にしこくマルシェ しゅんかしゅんか」でも大人気。店頭に並べたそばから、多くのお客さんが「どれにしようかな…」と選びながら手に取られていきます!
(畑の一角では、個性豊かな花がカラフルに咲き誇っていました。とっても可憐で、綺麗。)
葉唐辛子って、どんな野菜?
豊泉さんの畑に入ると、青々と空に向かって伸び始めた唐辛子の姿がありました。
一般的に「唐辛子」と聞いて思い浮かぶ赤くて乾燥した姿とは違い、葉唐辛子は読んで字の如く、特に葉の部分を楽しむものです。
まだ実が赤く熟れる前に、枝ごと葉と実を丸ごと収穫して出荷されます。
若いうちに収穫される葉は柔らかく、ほんのりと唐辛子らしい風味が。アク抜きのため丁寧に下茹でしてから甘辛く仕上げる佃煮は絶品です!
(葉唐辛子として出荷する品種は、唐辛子の実が下向きではなく上向きに育つのだそう!おもしろいですね。)
暑さが好み、今が旬!
このあたりでは、葉唐辛子の旬は7月中旬〜8月中旬ごろまでのおよそ1ヶ月間。
豊泉農園では、育てた苗を4月半ばに定植し、およそ3ヶ月間かけて育てています。
葉唐辛子は暑さに強い、というよりもむしろ暑さを好む野菜!
年々夏の暑さが増していますが、今年も取材日の少し前からぐっと気温が上がっており、「ちょうどこういう時期に、辛みがどんどんのってくるんだよ」と豊泉さん。炎天下の中、畑に美しく並ぶ唐辛子がとても逞しく見えた瞬間でした。
(葉唐辛子のお花は可愛い白色。同じトウガラシ系の仲間であるピーマンとよく似た花が咲きます。)
今年は2ヶ所の畑で合計1,500株以上を栽培中!
8月中旬を過ぎると唐辛子の実は熟れ赤く色づき、その頃には葉唐辛子ではなく「タカノツメ」として出荷予定。
豊泉さんのタカノツメは、一般的に流通している乾燥させたものではなく、枝付きの生の状態が特徴です。
フレッシュな辛みと爽やかな香りが楽しめるのはもちろん、枝の部分を麻ひもでブーケのように束ねたその可愛らしい見た目も人気のヒミツ!
お料理のアクセントに、地元産の唐辛子を食卓に取り入れてみませんか?
今年の葉唐辛子も、8月上旬〜中旬ごろまで、豊泉農園の軒先直売所や立川にある「のーかるバザール」などにて販売中!
その後は真っ赤で鮮やかなタカノツメも、ぜひお楽しみに。