現在は、息子さんたちと共に2世代経営。多摩市の米農家仲間とともに「多摩市農産加工組合」を設立し、日々お米や野菜栽培に加えて地元の名産品づくりに奮闘している。
今年もついにやってきた、おいしい新米の季節!実りの秋のごちそうですね。
今回は多摩市一ノ宮の米農家、太田茂さんにお話を伺ってきました。
稲刈り後の畑風景
太田家は代々続く農家。
茂さんは、41歳の頃勤めていた会社を早期退職し就農。
先代から米づくりの技術を引き継いでから30年間続けられています。
今年は食用米「はるみ」と酒米「五百万石」という品種を栽培しました。
取材の日はあいにくの雨。
これから続く長雨予報に備え、前日に稲刈りを終えられており、田んぼを覗くと、あちらこちらに三角形の藁立てが並んでいました。
なんだか小人のお家のようで可愛らしい風景に出会うことができました。
多摩の地酒誕生ヒストリー
ひと昔前までは多摩エリアにも豊かな田園風景が広がっていました。
しかし都市開発が進みにつれてその面積は減少。多摩市内に数十軒あった米農家が今では4軒のみになってしまいました。
そんな中、平成7年に食糧管理法が廃止され、さらに米の売上は不安定に。
「当時はどうしようかと思ったよ」と振り返る茂さん。他の農家も販売先に困りました。
どうにかしないと、と考えていた時「多摩の米を使ってうまい酒を造ろう!」と、ある農家の提案により酒造りのための試行錯誤がスタート。
それからさまざまな苦労を経て多摩の地酒「原峰(はらみね)のいずみ」が誕生しました。
多摩市の米農家たちが栽培した米を100%使用し、福生市の石川酒造で精米され造られています。爽やかな吟醸香と、米の旨みと辛味のバランスが絶妙な逸品です。
味噌に込められた思い
地酒「原峰のいずみ」には、酒米の中でも、直径2mm以上のものだけが使用されます(一般的な食用米は約1.85mm)。
しかし、いざふるいにかけると2mm以下の酒米も多く出てしまうもの。
ただ捨てるのはもったいない、という思いから「麴に最適なこの酒米の特徴を生かした名産品ができないか」と考え、地酒に続き味噌造りへの挑戦が始まりました。
米農家4軒合同で「多摩市農産加工組合」を立ち上げ、加工場を設立。
2年もの時間をかけ試行錯誤を繰り返し、ついに多摩の味噌「原峰のかおり」が完成しました。
米味噌、麦味噌、たっぷり麴味噌の3種類をラインナップ。酒も味噌も農家の工夫と思いが詰まっています。
この味噌の名前は一般公募で決定したそう。
昔から多摩市・関戸は湧水が出ていたため、「原峰」と呼ばれていたことから「原峰の湧水で育った米から造られた味噌です」という紹介と共に地域の方に名前を募集したところ「原峰のかおり」という名前になったのだとか。
地域を愛し、地域に愛されている味噌なのですね。
さらに、「味噌に使っている大豆と麦も各米農家で栽培しているんだよ」と太田さん(大豆の一部は国産を使用)。味噌は市内の学校給食にも広く使われています!(「原峰のかおり」はポンテでも販売中!です)
「あのおいしいお米はまだ?」と待ちわびているお客さんも多いですが、いよいよ10月後半〜11月ごろに入荷予定。
ツヤツヤで、とても甘く粘りの強い太田さんの新米でおいしい実りの秋を迎えましょう!