農業を始めてすぐにトマト用のハウスを新設。現在は、大玉とミニを合わせて4種類のトマトを栽培する傍ら、露地の畑を中心に年間30品目ほどを手がける。
プライベートでは一児の父として奮闘中!
トマトの旬といえば、どの季節が思い浮かびますか?
東京で、トマトを収量・品質共に安定的に出荷している農家さんは、ハウスで栽培している方がほとんど。
その収穫は毎年秋から始まります。
今回は、日野市栄町東光寺地区で4種類のトマト栽培をメインに営農されている立川博史さんを訪ねました。
就農後すぐに始めたトマト
博史さんのお家は、お祖父様の代で分家され、博史さんで三代目。
大学院まではシステムに関する研究をされていましたが、ご卒業後、近い将来の就農も見据えて農協に就職。
3年半、多くの人と話すことが求められる営業職でのご経験は、農家になった今も対面型の直売所でのやり甲斐に繋がっています。
農業で継続的に安定した生計を立てるため「就農したらトマト栽培をメインにする」と決めていた博史さん。
5年前に建てられた大きなハウスでは、現在、大玉の「ぜいたく」と「桃太郎」、ミニの「ロッソナポリタン」と「イエローミミ」を栽培中。
毎年、8月後半に1,500〜1,600本を定植し、11月から収穫を始め、翌年の6月いっぱいまで8ヶ月間に渡り採り続けます。
(トマトの誘引作業を見せてくれる博史さん)
樹のストレスは最小限に
栽培において最も大切にしていることは、「トマトになるべくストレスをかけずに、樹を健康に育てること」だそう。
いわゆる“おいしい”トマトを育てる上では、「水を切り(=抑え)、樹にストレスを与えるのが良い」というのが定説。
博史さんはその逆の発想で、長期間終了を得るためには、なるべく余計なストレスをかけずに樹そのものを健康に育てることが欠かせないと話します。
水分量だけではなく、肥料分の調整ももちろん必須。与え過ぎても、与えなさ過ぎてもダメなのです。
(赤色のロッソナポリタン。中央部分が少しくぼむ楕円形のミニトマト。生食だけでなく加熱してもおいしい)
(イエローミミ。丸みのあるイエローミミは、甘みが強く酸味はほぼ感じない。おやつ感覚で楽しめると人気)
健康のバロメーターは「葉の状態」。
私たちが実際に食べるのは実の部分ですが、栽培過程において「葉を見ればどんな実が出来上がるのかは予測がつきます」と博史さん。
健康な状態の葉は、枝に対して両側の葉がピンとV字に反り上がっています。
特に日が昇る時間帯は、日照を求めようと美しく反り上がるというから、野菜が本来持つ生命力を感じさせられますね。
また、葉の表面が“テカテカ”しているのも良い状態。
逆に、水分が足りない時は葉がクタッと萎れたようになってしまうし、肥料分が多すぎる時は不要な小葉が生えてきてしまうそう。
プロの農家さんに教えてもらいながら見ると、その違いが分かるからおもしろいです。
週に3回の対面販売
最近では、無人ロッカー式直売所も増えてきましたが、博史さんはお客さんと会話しながら販売するスタイルを続けています。
毎週土曜日は畑での直売、その他では、日野駅前や、豊田駅近くの公園で農家仲間と一緒に直売会を開催。
「食べた感想が聞けたり、どういう野菜が売れるのか直接反応が見られるのはいいよね」と笑顔で話します。
(ハウス栽培のトマトの他にも、露地の畑では冬野菜が所狭しと育てられている)
(生でもおいしい、もものすけカブを初採り。「もう収穫できるね」とニッコリ)
野菜は市内の学校給食やスーパーにも出荷。
取材の最後には、「トマトの中だと、自分はロッソナポリタンが特に好きかな」と教えてくれましたよ。
今年もミニは11月、大玉は12月から本格的に入荷!
農家さんの愛情と工夫が詰まったトマトを、是非味わってください。