年間通して、ハウス栽培のエディブルフラワー、水耕栽培の葉野菜で作るサラダセットに加え、今季から新たにイチゴに挑戦する。
住宅が並ぶ閑静な街・立川市栄町にある農地に建つ大きなハウス。
希少な東京産のエディブルフラワー(食用花)を手がける「あみちゃんファーム」の網野信一さんが、昨年秋に建てたばかりのこのハウスで取り組むのが、大規模なイチゴ栽培です。
「まちなかに農地があるという都市農業の魅力を最大限アピールできるようなイチゴをつくりたいんです」と語る網野さんに、新たな挑戦の背景にある思いや工夫について伺いました。
100m走ができちゃう?!
網野さんが、ここで代々続くご実家の農地を受け継ぎ法人化したのがおよそ三年前。
以来、年間通して出荷する種類豊富なエディブルフラワーを最大の主力として営農されてきました。
そんな網野さんがイチゴの栽培用に建てたのは、1,200平米もの広さをもつハウス。その長辺はおよそ100m!
ハウスに入ると、この辺りではあまり見たことのないその奥行きに驚きます。
「100m走もできちゃいますよ〜」と笑う網野さんが今シーズン手がけているのは、「紅ほっぺ」「かおり野」「あきひめ」の三種類。
ハウスの中では、栽培に欠かせない受粉役のクロマルハナバチが元気に飛び交っていました。
品種ごとに大きく4つのブロックに区切られており、それぞれ丁寧に管理されています。
(イチゴは白くて可愛らしい花が咲きます。よく見ると、膨らみ始めたばかりの小さな実も!)
果肉の柔らかさにこだわる
初挑戦となる今季に取り組む品種の選定基準を伺いました。
「ここで農業をやることの魅力は、やはり収穫後すぐに食べてもらえるこの距離感です。物流リスクをほとんど気にしなくていいという前提で、小さな子どもからご高齢の方まで老若男女が食べやすい“柔らかい”イチゴをつくりたいんです」と網野さん。
品種ごとに甘さや酸味のバランスは異なりますが、共通するのは果肉が比較的柔らかいという特徴があること。
そして、あみちゃんファームでは、基準値と比べて水分量やカルシウム量をより細かく調節することで、口に入れた瞬間に感じられる柔らかく食べやすい食感を目指しています。
収穫後すぐに食べてもらえるため、もちろん樹上で完熟したものを見極めて採るのが基本。買ったその日のうちに一番おいしく食べられるのは嬉しいですよね。
うどに続く立川の名産を
これまで、あみちゃんファームの主力はエディブルフラワーと水耕栽培のサラダセット。
ここに新たにイチゴが加わりました。
「食材同士の相性が良いからお勧めしやすい、というのも大事。もともとうちの花や野菜を使ってくれているレストランや洋菓子店の方々にもさっそく喜んでいただけています」と網野さん。
近い将来の目標は、「イチゴを、東京うどに続く、立川市の名産品として育てる」こと。そのために、市内で栽培をしている農家が集い情報共有しながら連携を図りブランディングを目指しているというから、とても楽しみですね!
ここ、あみちゃんファームからデビューしたばかりの甘くて柔らかいとれたてイチゴは、現地直売所や「にしこくマルシェ しゅんかしゅんか」にて購入できます。
これから暖かくなるまで楽しめる地元生まれのごちそうを、ぜひ一度お試しあれ!