旬の時期になると、色とりどりの野菜が並ぶ軒先の直売所はいつも大盛況です。
店頭に並ぶピカピカの白いトウモロコシ。
「しゅんかしゅんか」でシーズン最初に出るトウモロコシです。
毎年6月上旬、入荷が始まると楽しみにしていた常連さんが続々と手にとっていきます。
毎日100本単位で売れる6月の一番人気野菜、遠藤利光さん・恵美子さんご夫妻が栽培・出荷している「雪の妖精」です。
どんな農家さん?
利光さんはまず地元のJAに就職、農業指導員や資産管理、金融とさまざまな部門で働いたそう。
もともと畑の手伝いはしていましたが、50歳くらいから兼業で本格的に実家の農業を担うようになったそうです。
恵美子さんは結婚後、畑をずっとお手伝いしてきて、国立市のJA女性部の部長を担当したことも。
今では、およそ1町歩の畑で、トウモロコシ、枝豆、ブドウ、人参、カブ、落花生など年間20〜30種類の野菜を栽培されています。
販売先は庭先の直売がメインで、他にはしゅんかしゅんかや地元の直売所で販売。
利光さんはとにかく「人と違うものをつくりたい」「味が違う、おいしいものをつくりたい」といつもおっしゃいます。
実際、3年ほど前に「ビーツが欲しいけれど栽培する人がいないんですよね」と話すと、その場でタネ屋さんに電話してタネを手配し栽培開始。今では定番となり店頭に並んでいます。
いつも新しいことにチャレンジしていて、ブドウや桃の栽培に取り組んでいるのも国立市では遠藤さんご夫妻のみ。
また、お二人で手分けをしながら得意分野を活かす、息の合った仕事ぶりが印象的です。
(地元の方に愛される直売所)
(しゅんかしゅんかでも定番ラインナップとなったビーツ)
白いトウモロコシ「雪の妖精」
さて、「雪の妖精」は、まさに利光さんの「人と違うもの、味が違うものをつくりたい」という姿勢の賜物です。
白いトウモロコシは半径200m以内に他のトウモロコシがあると交配する恐れがあり、畑が比較的狭い東京では栽培しにくいもの。
ただし、利光さんは実験により、時期をずらせば受粉のタイミングがずれて、交配が起こりにくいということに気が付いたそう。その知見を活かし、早めに播種をし収穫は6月上旬からと、他の農家さんと比べても1〜2週間くらい早くとれるように栽培しています。
けれども、早く収穫するためには苦労も少なくありません。
2月上旬からタネを蒔き始めて3月上旬には畑へ定植を行いますが、トウモロコシの苗は寒さに弱いのです。資材を三重にかけるなどの工夫を施し対応しますが、東京では4月頃までは遅霜が降ることもしばしばあるため、霜に苗がやられてしまうことも。
それでもやはり「雪の妖精」にこだわるのは、他に栽培している人が少なく、甘くておいしいからです。
土づくりへのこだわり
さらに、畑の土づくりにもこだわりがあります。
ふかふかで栄養たっぷりの土には、馬事公苑から届く馬糞に藁(わら)と米ぬかを入れた完熟の自家製有機堆肥に、油粕や鶏糞をプラスしています。
そして、トウモロコシの味を大きく左右する鮮度ももちろん大事。
シーズンになると、毎朝4時半頃から収穫し、すぐに保冷庫へ。その日のうちにすべて売り切ります。
また、収穫適期を逃さないための工夫もあります。
6月上旬からおよそ1ヶ月で約8,000本を出荷するのですが、暑い時期になるとトウモロコシは収穫適期が短いため、常においしい状態でとれるようになんと7回にも分けてタネをまいているそうです。
このように、おいしい秘密の詰まったトウモロコシ、ぜひまずは生で食べるのがオススメです!お試しください。