畑に隣接する無人直売スタンドが市民の間で大人気。さまざまな果樹も含めて年間100品目近い野菜を栽培している。
趣味は、週に3回通う1時間半のテニス。日々の農作業で凝り固まった体をほぐしてくれるのだとか。「テニスができるうちは、農業もできるよ!」と笑いながら話す。
近年、多摩市ではアスパラガスを地域の特産品にしようと力を入れています。
今回は、多摩市馬引沢でアスパラガスを始めさまざまな野菜を少量多品目で生産、畑に隣接する直売所が大人気の小形農園を訪ねました。
少量多品目生産
小形家は、過去帳が残っている分だけでも先祖代々400年以上続く農家。小形さんはその13代目にあたります。
大学院をご卒業後、大手建設機械メーカーで勤務していましたが、お父様が亡くなられたのをきっかけに41歳のときに就農されました。
ここ小形農園では、都市農業の最たる特徴の一つである「少量多品目栽培」の生産スタイルがとられています。
しかし、他の農家とは一味違う!?
畑を見ると、アスパラガス、キャベツ、レタス、菜花、ジャガイモ、それから…と数えきれないほどたくさんのお野菜が。
さらにその野菜の育つ上には、リンゴ、柿、ぶどう、梅…とたくさんの果樹が育っているのです!
ぶどうの樹の下でアスパラガスがぐんぐん育つ光景は、なんだか夢を見ているよう。
果樹の下で野菜を育てるのは、日当たりが悪くなるためとても難しいのです。研究熱心な小形さんの技術と経験あってこそできる技であり、“求められる品を求められる量だけつくる”をモットーにしている農園の特徴が現れています。
(柿の樹の下に綺麗に並んで植えられた玉ねぎ)
(取材が行われた4月上旬、旬真っ只中の菜花。その場で手でポキポキ折って収穫してくれました)
多摩産アスパラガスの特徴
多摩市のアスパラガス栽培には、明治大学の農学部を中心に、産官学のコラボレーションで開発された「採りっきり栽培®️」と呼ばれる特殊な栽培方法が採用されています。
通常のアスパラガスは、苗を植えてから1〜2年目は収穫せずに養分を蓄えさせて株を育て、3年目からその後10年間収穫し続けます。
一方「採りっきり栽培®️」では、苗を定植した翌年に生えてきた若茎を全て収穫してしまい、毎年これを繰り返します。
1株あたりの収穫を1年に限定することで、「病気になりにくい」「収量が増える」「収穫が終わればすぐに他の野菜の栽培が可能になる」と、良いことずくめ。
小形さんもこの栽培方法を採り入れていて、このアスパラガスはとても肉厚でジューシー。噛めば噛むほど、果物のような甘さが口いっぱいに広がります!
(来年の収穫に向けて間もなく訪れる定植の時を待つ、アスパラガスの苗。フワフワで繊細な葉が特徴的です。)
(収穫適期を迎えた今シーズンのアスパラガス。空に向かってまっすぐ伸びている姿に生命力を感じますね。)
直売所から広がる地域の和
小形さんは農園前の道路沿いに無人の野菜スタンドを設置しています。
週に3回(火・木・土)、朝どれの新鮮な野菜を販売。「四季に沿った旬の野菜や果物を、通年途切れることなく提供したい」という思いが込められたこの直売所では、販売時には常に10品目以上は野菜を並べることを心がけているそう。
直売所は、新鮮な野菜を求めて、朝から多くのお客さんで賑わいます。
「お客さん同士でそれぞれのおいしいレシピを教えあったり、他愛もない会話をしたりしていて。この無人スタンドを通して、地域の緩やかなコミュニティがつくられているんだよ。その和を大切にするためにも、これからも農業を頑張っていきたいね」と優しい笑顔でお話してくださる小形さんでした。
(小形さんの無人スタンドの近くの畑には、春は綺麗な菜花が咲き誇っています。これからはいろいろな果樹も花を咲かせる頃ですね。新鮮な野菜を買いながらゆっくりとお散歩もオススメです!)
小形農園のお野菜は、新たに私たちエマリコくにたちの運営店舗に加わった「東京都多摩市&長野県富士見町共同アンテナショップ ポンテ」(京王永山駅より徒歩3分 / グリナード永山1階フロア内)でも大人気。特にアスパラガスや柿、梅は名物です。
一昨年降った雹の影響で、この2年は柿が不作でしたが、今年は今のところとても好調だそうで楽しみ!
甘くてジューシーな朝どれのアスパラガスの旬も、少しずつ終わりに近づいています。
「ポンテ」の店頭で見つけた際には、ぜひお見逃しないよう、多摩市自慢の味を楽しんでみてくださいね。