息子である7代目の慎太郎さんと二人三脚で、年間15品目ほどを手がける。
赤しそのほか、枝豆、ブロッコリー、大根、長ネギなども主力野菜。以前は市場出荷や庭先直売も行っていたが、現在は「しゅんかしゅんか」やスーパーがメインの販路になっている。
梅雨の時期になると「にしこくマルシェ しゅんかしゅんか」の店頭を華やかに彩ってくれるのが、色鮮やかな赤しそ!
手がけているのは、国分寺市東恋ヶ窪におよそ2ヘクタールという広さの畑を持つ佐藤園さんです。
例年人気の赤しそは、6代目・佐藤弘さんが栽培管理を担当。今回はこの辺りでも珍しい、東京産の赤しそが主役です。
自分の代から始めた赤しそ
今では、しゅんかしゅんかでも定番人気の佐藤園の赤しそ。
栽培が始まったのは、弘さんが園主になってからとのこと。
今年で就農44年目というベテランの弘さん。栽培を始められた経緯を伺うと、「親戚の農家に勧められたんだよな」と振り返ります。
最初は何気なく始められたそうですが、この辺りで他にやる農家が少ないこともあり、以来ずっと続けているそうです。
今シーズンだけで、およそ12,000株を超える量を作付け中。
昨年は7割を畑に直播き、3割をハウスで育苗してから定植する方法でやられていましたが、今年は全量を育苗後の定植に切り替え。
赤しそは寒さに弱く、3月から植えつけを始めるには、暖かなハウスである程度育ててから畑に移してあげた方が安定するのだといいます。
ハウスにお邪魔すると、定植を待つ最後の作が。まだまだ小さく、緑色から赤しそらしい色に変化する過程の姿になんだか感動してしまいました。
(少しずつ陽に当たることで色が変化する赤しそ。その正体はアントシアニンで、この成分が葉緑体に当たる太陽光の量を調節してくれるのです。)
(赤しその苗。小さくても、こんなに鮮やかな色で育つのですね。)
(畑に移されたばかりの赤しそ。ここから暖かい気候とともにどんどん育ちます。)
品種と収穫のおはなし
佐藤園で栽培されているのは、「純赤ちりめん」という品種。
特徴は、ちりめんという名の通りよく縮れること!葉は表裏ともに鮮やかな深紅色になり、とれたては非常に柔らかいのも特徴です。
取材に伺った5月上旬には、まだピンと張って見える背丈の低い葉は、ひと月もすると、どんどん縮れて背丈もぐんぐん伸び生長するといいます。
一日の中で収穫に適しているのは、朝方または暑さが少し和らぐ夕方以降。
6〜7月の日中は暑すぎて赤しその葉っぱがくたっとしてしまうそうで、「なるべくピンとしていい瞬間にとった方がお客さんも嬉しいだろ?」と微笑みます。
他の野菜にも同じことが言えますが、畑にいる一日の間に状態が変化していくのは、やはり生きているからこそなのだと感じさせられます。
(まだ若い赤しその葉。ここからさらに縮れていきます。)
毎日欠かさない習慣とは
赤しそに限らず、毎日畑全体を歩いて回り、野菜の様子を自身の目で観察することを欠かさない弘さん。
「農家の間では、野まわりって言うんだよ」と、先代から受け継がれてきたその重要性を教えてくれました。
野菜栽培に関するあらゆる工程を、日付で管理・記録している佐藤園さん。それをもとに日々の計画を立てますが、「朝起きて野まわりすると、その日にやるべきことがはっきり見えてくる。事前に立てた予定が変わることはしょっちゅう。天候にもよるし自然相手だから仕方ないよな」という言葉には、44年間農家一筋の経験による重みを感じました。
(取材の間にも畑に入り野菜の観察。こちらは、人参の様子。「だいぶ太ってきていい感じだ」とのこと。)
6月からたくさん出始める佐藤園の赤しそ。
「とれたてで新鮮な赤しそは、本当に香りが違う!」と毎年リピーター続出の逸品です。
自家製ジュースやシロップ、梅干しづくりのお供に、今年も東京産の赤しそをぜひお楽しみください。