新茶のシーズンがやってきましたね!みなさんは国分寺市内にもお茶畑があることをご存知ですか?今回は国分寺市で唯一、お茶の栽培〜製造〜販売までを一貫して手がける国分寺市東戸倉の「松本園製茶工場」を訪ね、代表である松本信一さんにお話をおうかがいしました。
国分寺唯一の茶畑の始まり
松本園製茶工場の始まりは今から70年以上前。お店のすぐ横、現在お茶畑となっている場所はもともと野菜畑だったそうです。信一さんのお母さんであるフミ子さん(現在95歳、現役!)が茶農家から松本家へ嫁いできて野菜を作るより、お茶を作った方が良いのではと考えて野菜畑を徐々にお茶畑に変えていきました。昔はお茶ならなんでも売れた時代。とても忙しかったそうです。信一さんは静岡の国立茶業試験場でお茶作りを根本から勉強し、美味しいお茶を製造・販売できるようになりました。
お茶の加工は職人技
お茶の刈り取りを行うのは一年に一度。刈り取りを行う新茶の時期(4月下旬から5月初旬)は大忙しで、信一さんご夫妻だけでなく家族・親戚総出で作業を行います。午前中に刈り取ったお茶は鮮度を損なわないようその日のうちに店舗の隣にある工場で加工します。刈り取られた茶葉は“蒸気で蒸す→蒸した茶葉を熱風で乾燥→重みをかけてさらに乾燥→もう一度重みをかけて揉みながら乾燥”といった複数の工程を経て、“荒茶”と呼ばれる状態になります。この荒茶にさらに火入れしたあと、茎や粉を取り除いて味の調整をします。加工後の茶葉は年間を通して大型冷蔵庫で保管され、必要な数だけをパッキングして店頭に並べています。お茶の加工工程では「ある程度の水分量を残しつつ、乾かすこと」が大事。茶葉をベストな状態にするために、その日の気温や湿度に合わせてファンの回転数や乾燥時間を10秒単位で調整されています。細かな調整は信一さんにしかできない作業、まさに“職人技”です。
お茶の刈り取りには重い機械を使用し、工場内は機械から発生する蒸気で室温50度以上になることもあるそうで、「お茶作りはタフじゃなきゃできない仕事だよ。」と信一さんは語ります。
(刈り取った茶葉はその日のうちに店舗のすぐ隣にある製茶工場で加工されます。)
お茶好きが唸るお茶
以前は企業へのお茶の卸もされていたそうですが、現在は個人販売がメイン。店舗販売だけでなくネットでの販売も行なっており全国から注文が入ります。お茶好きの方から「お友達にいただいてすごく美味しかったからまた飲みたくて買いに来た!」「松本さんのお茶を飲んだら他のお茶を飲めなくなった!」というお声もあり、お客様からの喜びの声がお茶作りの励みにもなっているそうです。お茶づくりや販売のほかに、国分寺の小中学生向けのお茶の摘み取り体験や急須でのお茶汲み体験の受け入れ、新茶の時期には国分寺市内の小学校給食にお茶を出荷するなど、子どもたちへのお茶文化の伝承にも取り組まれています。国分寺市内の小学生は皆一度は松本さんのお茶を飲んでいるそうですよ!羨ましい!
(店舗は茶畑、製茶工場に隣接しています。国分寺市外からお茶を求めて来店される方も多いのだとか!)
今回、取材の最後に、信一さんと奥様の美津子さんに新茶を淹れていただきました。(とっても贅沢な経験…!)鮮やかな緑色、とろっとした口当たりでしっかりお茶の味は濃いのですが甘みもありとても美味しかったです。職人技から生まれるこだわりのお茶、みなさんもぜひ一度味わってみてください。