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霜の功罪、冬野菜の醍醐味

2020年12月22日

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私は、東京の冬野菜が本当においしくなるのは12月下旬以降だと思っています。

よく言われることですが、霜に当たった野菜は自分を守るために糖度を高めます。
さらに、これは個人的な感覚ですが、旨味も増すような気がします。
では、冬に野菜を買えば全部そういう野菜かというと、そうではありません。

そもそも、霜が降るのは、安定的に野菜を出荷する上ではあまり良いことではありません。
例えば、大根は凍って溶けてを繰り返すことで中が黒くなったり食感が悪くなったりします。
小松菜やほうれん草などの葉物も、霜に当たりすぎると見た目が悪くなります。中が傷んでくることも。

そのため農家の皆さんは、多くの場合は霜害が出ないように、野菜に被覆をするなどの工夫をします。
また、ハウス施設をうまく活用して、野菜が傷まないように気をつけながら安定的に出荷を目指します。
見た目が良くてキレイな野菜を作るには、ハウスで作るのが一番です。

とは言え、冬野菜の醍醐味の1つは、寒さにしっかり当たって見た目は良くなくても甘み・旨味がしっかりある野菜なんだよなぁ、とも思うのです。
霜害が出ない程度に寒さに当てるというのは塩梅が難しいうえ、お客様からも見た目が良くないために支持がされにくい野菜になってしまう。でも、力強い味を楽しむという意味ではもっとも良いタイミングだとも思います。

そんな葛藤をかかえながら、日々直売所を運営したりしています。

野菜の外観はとても大事ですが、パッと見てキレイじゃないときになんでだろう?とお店のスタッフに聞いてもらえたら、いつもと違う楽しみを味わえる野菜に出会えるかもしれません。

text:Yusuke Shibuya

 

立川市・岩田さんのトンネル準備風景

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